日本の学校教育は、圧倒的に多読・多聴が足りていません。中学高校の6年間で読む英文量は、一般的な洋書1冊にも満たないでしょう。精読を重視した教育なので当然と言えば当然ですし、間違っているとは思いません。前述の通り、精読はとても重要です。
しかし、精読だけでは真の英語力がつかないのも、また事実です。ここでは、多読で得られる効果とデメリットについてお話しします。
多読の効果
・英語脳を習得できる・・・
英語を読んだり、聞いたりするとき、日本語を介さずに英語のまま理解するのが「英語脳」です。そして、英語脳を鍛えるには多読か多聴しかないと思います。私は現在、多聴のみを実施していますが、それは英会話を重視しているからで、リーディングが重要な方は多読をメインでやった方が良いでしょう。
・自然な英語に大量に触れられる・・・
語彙力の目安では、TOEIC860点取得者は9000語前後の語彙力があるとお伝えしました。それでもネイティブの15000〜20000語とは2倍ほど開きがあります。
ゴリゴリ単語帳を暗記してこの差を埋めるのも一つの手かも知れませんが、私はオススメしません。基礎単語数千語に関しては暗記する方が効率的ですが、それ以上を求める場合は、多読・多聴によって地道に語彙力をつけるのが一番です。より自然な使い方・表現を習得できますし、何と言っても楽しく続けられます。
・英語長文に抵抗がなくなる・・・
英語長文に出会っても臆することがなくなります。私も過去に洋書を20冊読んだ後は、TOEICなどの長文問題を見た時に抵抗感が少なくなりました。
このようにたくさんの効果がある多読、日本の学校教育でも、Graded Readersなどの素材を使って、多読の入口くらいまでは導いても良いのではないでしょうか。学校の図書館に洋書をたくさん用意し、授業で読む機会をつくれば、多読の世界へ飛び立つ生徒が増えると思います。
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多読のデメリット
・お金がかかる
デメリットはやはりこれです。
語彙・文法レベルに制限があるGraded Readersシリーズを例に、計算してみましょう。
次の条件で計算してみます。
– 使用する素材:「Penguin Readers」シリーズのレベル3 (1冊あたりの総語数:約10000語、価格:720円)
– 1日の多読時間:60分
– 読解スピード:100語/分
以上の条件より、
→ 1ヶ月(30日)で1800分間多読する時間がある。
→ 読解スピードが100語/分なので、1ヶ月で180000語読むことができる
→ 1冊約10000語のPenguin Readers (レベル3)を、18冊読むことができる
→ 1ヶ月に18冊×720円 = 12,960円かかる
ひと月1.3万円もかかってしまいます・・・。英会話学校に通うよりは安いと思う人もいるかも知れませんが、大学院時代の私には痛い出費でした。多読を中断した理由のひとつです。
当時の私は、律儀に新品の洋書を購入していましたが、図書館、レンタル、Kindleなどを利用すればある程度安く抑えられます。後ほどご紹介致します。
【補足】
ちなみに、多聴の場合もそれなりに出費は必要です。例えば、”フレンズ 〈シーズン1-10〉コンプリート ブルーレイ BOX”を購入すると3.9万円かかります。ただし、全10シリーズ(238話)収録されており、1日1話鑑賞したとして約8ヶ月楽しめます。つまり、1ヶ月あたり約5000円の出費ということになります。上記作品は高めなので、平均的には3000〜4000円/月といったところでしょうか。
⇒ 多読の目標をどう設定するか へつづく
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