多読に使う素材で絶対外せないポイントは以下の3つです。
1. 自分のレベルにあっている素材を選ぶ
2. 楽しめる素材を選ぶ
3. いろいろなジャンルを意識的に選ぶ
では、順番に見ていきましょう。
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1. 自分のレベルにあっている素材を選ぶ
何といってもこれが一番重要です。しっかりお伝えするために、さらに3項目に分けました。
(1) 自分のレベルにあった本の定義
(2) まずはGraded Readersから選択
(3) 本のレベルを上げる基準
です。
(1) 自分のレベルにあった本の定義
自分のレベルにあっているとは、何とかギリギリ読める本ではありません。「あー、これはスムーズに読めるし大体分かるなぁ。」な本です。
具体性にかけるので、本サイトの 「あー、これはスムーズに読めるし大体分かるなぁ。」な本を定義すると、
・知らない単語が1%以下であること (1ページ300単語とすると、3語以下です。)
・ストーリーが6〜7割以上分かること
です。
知らない単語(もちろん固有名詞などは除く)が1%を超えてくると、前後で推測するのが難しくなります。また、ストーリーが半分も分からないと、読んでいて苦痛です。上記定義にあてはまる洋書を選ぶようにしましょう。
(2) まずはGraded Readersから選択
Graded Readersとは、英語学習者を対象に、使用する単語や文法レベルに制限をかけた洋書のことです。
ネイティブ用の絵本・児童書から多読をスタートされる方もいらっしゃいますがオススメできません。日本の義務教育では習わない単語がそれなりに登場するからです。一方、Graded Readersであれば、基礎単語で構成されています。
主な出版社は、
・Penguin Readers (ペンギンリーダーズ)
・Oxford bookworms (オックスフォードブックワームズ)
・Macmillan Readers (マクミランリーダーズ)
・Cambridge English Readers (ケンブリッジイングリッシュリーダーズ)
の4社です。
このうち、総冊数が最も多いPenguin Readersのレベル分けを表にしました。
■Penguin Readers (ペンギンリーダーズ)
・Pearson ESL社のGraded Readers
・総冊数500冊以上で最大級
・別売りで音声CDが入手可能な作品多数
英検やTOEICの目安はあまり参考にしない方が良いでしょう。TOEICの文章とこれら洋書は異なる点が多く、慣れていないと高得点の人でも読みにくいと思います。
あくまで私の感覚ですが、TOEIC 600〜700点の方はレベル1〜3から、TOEIC 700〜800点ならレベル3〜4から、TOEIC 800点以上ならレベル4〜5からスタートするのが良いと思います。
【補足】
TOEIC 600点以下の方の場合、まずは英単語・文法といった基礎力をつけるのが先決だと思います(多読を開始する前にもご参考下さい)。
注意点は、アメリカの歴史・文化的背景知識が必要なものを選ばないことです。文章的に簡単でも、アメリカの歴史を知らないだけで急に読むのが難しくなります。最終的にはどんなジャンルの洋書でも読めるようになるのが大事ですが、最初にあえて選ぶ必要はないでしょう。
また、Graded Readersでは、本の最後に理解度テストみたいなものがありますが、特にやる必要はないと思います。多読の場合、勉強するという意識よりも、趣味のように気長に続けるという気持ちが大事だからです。
(3) 本のレベルを上げる基準
では、何を基準に本のレベルを上げるべきでしょうか。総語数100万語を突破したら、上げても良いのでしょうか?
私はこの基準ではうまくいかないと思います。多読の目標をどう設定するかでも述べたように、総語数ではなく、読解スピードを基準にレベルを上げた方が良いでしょう。
多読実践者の間でかなり有名な、「SSS英語学習法」というサイトで、下記の記述を見つけました。
SSS方式では、本のレベルを上げる・下げる基準の目安を
・分速 80語以下 → レベルを下げた方がよい
・分速100語以上 → レベルを上げてもよいとしています。これは個人差もあるので、楽しんで読めていれば無理にレベルを下げる必要も上げる必要もありません。あくまで、これを目安に、自分なりの基準を作って下さい。
(引用:SSS英語学習法)
さて、上記基準をそのまま適用しても良いのですが、私の過去の多読経験から、100 WPM(*)でレベルを上げてしまうと、挫折する可能性が高い気がします。そこで、もう少しだけ基準を上げて、
120 WPM以上でレベルを上げる
を推奨したいと思います。
(*) WPM (words per minute):1分間で読める語数
本のレベルを上げる基準をまとめると、
・80 WPM以下 → レベルを下げた方がよい
・80〜120 WPM → レベルは現状維持
・120 WPM 以上 → レベルを上げてもOK
です。
前述のGraded Readersの4社は、全て7段階のレベル分けをしています。
上記の基準で1つずつレベルを上げていき、最高レベルでも十分な読解スピードで読めるようになったら、いよいよ一般洋書を手に取りましょう。ついに、ネイティブが普通に楽しむ洋書を同じように楽しめる日が来るのです。ここが1つの節目だと思います。
一般洋書のレベルも、もちろんピンキリがあります。ネット上には、洋書の読みやすさ・総語数・評価などの情報がたくさん手に入るので、それを参考に自分にあった洋書を読みましょう。その時も、上記読解スピードの基準を参考に、本のレベルを調整しましょう。
【補足】
多読の目標をどう設定するかでは、
「あらゆるジャンルの文章を150 WPM以上で読めること」
を推奨しましたが、150 WPMはあくまで最終目標です。
Graded Readersのレベルを上げる基準は、それより少し落としてOKだと思います。多読トレーニングを長期間続け、本のレベルも少しずつ上がっていき、ついには一般的洋書も読めるようになった。そして、気がついたらあらゆるジャンルの文章を150 WPM以上で読めるようになっていた、というのが理想です。
2. 楽しめる素材を選ぶ
「自分のレベルにあっていること」さえクリアしていれば、たいてい楽しく読める気がします。英語の勉強を第一目的でやっているので、英語がスラスラ読めたら気持ち良くて楽しいのです。
とは言っても、内容が面白いにこしたことはありません。大好きな漫画を読むような時を忘れる感覚で多読できたら最高で、そんな素材を探しましょう。
最初は、ネットや多読ガイドブックの評価を参考にしたり、自分の好きなジャンルからスタートするのがオススメです。
3. いろいろなジャンルを意識的に選ぶ
多読に慣れてきたら、いろいろなジャンルを読むように心がけましょう。
自分の専門分野なら割と読めるが、ジャンルが変わると全然ダメという方は多いと思います。真の読解力をつけるためには、いろいろなジャンルをバランス良く読むことも大事だと思います。
洋書といってもたくさんのジャンルがあります。
小説、SF、サスペンス、ファミリー、歴史、自分の専門分野関連などなど。また、ネットを利用して、ニュース記事、広告、会社のHP、ブログなどを読むのも良いと思います。無料ですし。特にブログなどはくだけた表現が多いので、そのような表現を学びたい場合は最適です。
⇒ 多読のオススメ素材 へつづく
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